幸運の守り「モルチッチ」
みなさん、こんにちは!クロアチア在住ガイドのまみです。
クロアチアの港町リエカに伝わる幸運のお守り「モルチッチ」。何百年もの間、町の人々に大切にされてきました。
モルチッチとは白いターバンを頭に巻いた黒人男性を象ったアクセサリーで、その起源は17世紀に遡ると言われています。
地理的、歴史的にヴェネチアの影響を強く受けてきたリエカ。当時のヴェネチアでは世界を舞台とした交易が盛んに行われており、貴族階級の間ではオリエンタルなものへの憧憬が高まっていました。
そんな貴族の邸宅では、 オリエンタルな衣装を身にまとったムーア人をお世話係とすることがブームに。邸宅やサロンで働くエキゾチックな彼らの姿はヴェネチアの金銀細工職人たちによりアクセサリーのモチーフとして取り入れられ、人気を博しました。
その後リエカを中心としたクロアチアの人々にも親しまれるようになり、当時はたくさんの船乗りたちがモルチッチのアクセサリーをお守りとして身に着けていたのだとか。現代ではピアスやペンダントのモルチッチを「幸運のお守り」として、たくさんの地元の人々が日常的に愛用しています。
また、今日モルチッチはリエカのシンボルのひとつとされ、カーニバルではモルチッチに扮した人々の姿がたくさん見られます。
町のジュエリーショップの ショーウィンドーにはモルチッチのアクセサリーが並べられおり、人々にとって身近な存在であることを見て取ることができます。(観光客にも人気があるアクセサリーとして親しまれています)
リエカの思い出に、幸運のお守りをひとつ持ち帰るのも素敵ですね。
ただ、クロアチアでは今でも「モルチッチ=幸運のお守り、伝統ジュエリー」として(人種差別の意図はなく)親しまれていますが、欧米を中心にモルチッチのアクセサリーは「人種差別的なモチーフである」という批判的な意見も一部から出てきています。
どうやらモルチッチのジュエリーは「かつて使用人、奴隷だった黒人の方々の特徴を過度に誇張して表現していることから人種差別的だ」と見なす意見もあるのだそう。
(外部サイト参考記事:ELLE Girl / マイケル・オブ・ケント王子夫人マリー=クリスティーヌが、人種差別的なブローチをつけて謝罪 )
リエカのある友達が「私も子供の頃に買ってもらったモルチッチのジュエリーを持っている。リエカ伝統のカーニバルでも「モルチッチ」に扮して、顔を黒く塗り仮装をする人がリエカ・カーニバルの伝統として長年親しまれてきた。
でも、近年モルチッチや顔の黒塗りが”人種差別的だ”という意見が出てきているのも知っている。
ただ、私にとっては「幸運のお守り。伝統的なジュエリー」。ここリエカでは長年愛されてきたシンボルであって、人種差別的な意図はない・・・。でも、これを目にして気分を害する人もいるのかな・・・。
難しい問題だけれど、少なくとも今のご時世、私たちリエカ市民たちも”知らなかった”では済まされるべきではないと思う。少なくとも、そのような意見があることを理解して伝統と向き合うことが大切なのかも」と話してくれたことが印象的でした。
捉え方によって意見が異なる難しい問題ですが、もしも身に着けられる際は「このような意見もあるんだ」ということを知っておくといいかもしれません)
なお「モルチッチが欲しい」という方は、ザグレブなど他の町でも一部のジュエリーショップでは買うことができますが、探すのに少し苦労するかもしれません。モルチッチをお探しの方は、せっかくリエカに立ち寄るなら、ぜひリエカでお求めくださいね!
※ザグレブではこちらのお店(Tomkić)で販売されています。
クロアチアお土産関連記事
リエカ観光情報をチェック!
⇒ 【リエカ半日観光プラン】散策モデルコースとリエカの見所・観光スポット
⇒ 【必見】リエカの街並みとアドリア海を一望する絶景スポット「トルサット城」
⇒ 【リエカ観光】絶景スポット「トルサット城」へのアクセス方法
⇒ 【リエカ観光】地元民おすすめのレストラン・カフェ(まとめ)
⇒ 【リエカ観光】歴史と活気溢れるリエカの市場散策を楽しもう
⇒ 【リエカ観光スポット】町のシンボル「時計塔」にまつわる楽しい豆知識
⇒ 【リエカ観光】イエスのナザレの家が運ばれた伝説の地「トルサット聖母教会」
⇒ 【クロアチア・リエカ観光名所】お札にも描かれた「聖ヴィート大聖堂」の伝説
⇒ 【旅コラム】川とアドリア海が出会う、クロアチアの港町「リエカ」