夏のモスタル観光前に知っておきたい5つのこと
クロアチアのドブロブニクから人気の日帰り旅行先でもある、ボスニア・ヘルツェゴビナのモスタル。
筆者もこれまで何度も足を運びましたが、何度訪れても飽きない、エキゾチックで美しい街です。
一年を通して、それぞれの季節ならではの良さがあるモスタルですが、たくさんの観光客が訪れ、街が活気に溢れる夏がやはり観光には一番楽しいシーズンと言えるでしょう。
この夏(7月、8月)筆者も、仕事で4回程モスタルを訪れましたが、どの日に訪れてもたくさんの観光客で賑わっていました。
今回は夏のモスタル観光で気をつけてほしいこと、夏ならではの楽しみ方をお伝えします。
1.スリに注意
まず、何よりも気をつけてほしいこと。
それは、身の回りの貴重品にくれぐれも注意してほしいということです。
平和で安心して旅を楽しんでもらえるモスタルですが、度々スリ被害が報告されています。日本人観光客も他人事ではありません。
モスタル現地のガイドさんのお話によると、主に暗躍しているのは観光客に扮した女スリ集団とのこと。地元警察や地元ガイドさんたちも、誰が犯人なのかということは目星はついているものの、スリは現行でないとなかなか逮捕ができないため手を焼いているのだとか。
実際に、この夏、地元ガイドさんと一緒にモスタルを歩いていた時「あっ!あの女集団よ!ほらっ、団体ツアー客を狙っている」と、ガイドさんが指差す方向を見ると、観光客に扮した二人の女性の姿がありました。
ひとりは(スリの犯行の瞬間を目撃されないよう、周囲から視界を遮るために)カンカン照りだというのに、日よけのフリをして折りたたみの雨傘を広げ、もうひとりは傘をさす女にぴったりと寄り添うように歩いていました。
このスリグループが狙っていたのは、前を歩いていた韓国人観光客の団体。ガイドさんはすぐに警察に「またスリがうろついている」と電話をして警察にパトロールを要請していましたが、ガイドさんの話では「捕まっても、残念なことにまたすぐ出てきたり、仲間がたくさんいるから、いつもいたちごっこだ」とのこと。
筆者が目撃したのは女二人組でしたが、四人グループで行動していることもあるとのことです。
スリ集団が「獲物」に狙いを定めるのによくうろついているのはモスタル旧市街の入り口付近にある「フランシスコ教会」周辺(下の地図)。
団体ツアーでモスタルを訪れると、フランシスコ教会前が現地ガイドさんとの待ち合わせ場所に指定されることが多いため、団体旅行者を狙うスリが頻繁に出没しているそうです。(実際に筆者がガイドさんと女スリ集団を目撃したのもフランシスコ教会前でした)
また、言うまでもありませんが、旧市街内の散策時も油断は禁物です!
特に7月、8月の観光トップシーズン中は、旧市街内が非常に混雑します。
混雑が酷い日は「人混みで、前に進むのがやっと・・・。まともに歩けない」というくらい混雑してしまうことも。そうなると、周囲の人と身体をぴったりとくっつけて歩くはめになってしまうため、スリにとっては絶好のチャンスとなります。
特にリュックサックを背負っている人は要注意!混雑する場所ではリュックサックを前抱えにするなどして、絶対に貴重品を死角エリアに置かないことを徹底してください。
「自分は大丈夫・・・」と思い込まず、スリ被害に遭わないためにも、ぜひ下記記事もヒントにしてみてくださいね:
2. 暑いモスタル!熱中症にご用心
夏の暑さが厳しい町としても知られるモスタル。
隣国クロアチアの人々も「クロアチアも暑いけれど・・・モスタルの暑さには敵わない。あの町は本当に暑い!」と悲鳴を上げるほど。真夏には35度以上まで気温が上がることも珍しくありません。日によっては40度を超える猛暑となる日も・・・!外で立っているだけで、汗でびっしょりになるほどです。
夏の観光時には、なるべく無理のないスケジュールで、こまめに休憩や水分補給を挟みながら、モスタル散策を楽しんでくださいね。
3. 雨にご用心
夏は暑いモスタルとはいえ、雨が降ると急に気温が下がることもあります。
夏でもお天気が悪そうな日は、天気予報で気温などを事前に確認した上で、念のために薄手の上着やストールなどをご用意されることをおすすめします。
また、石で覆われたモスタル旧市街の道。特に町のシンボルである「スターリ・モスト橋」の上は、雨が降るとツルツルして滑りやすくなるので、足元にはくれぐれも気を付けてくださいね。
4. 名物の「飛び込み」もお見逃しなく!
モスタルの夏の風物詩といえば「スターリ・モスト橋」の上からの飛び込み!
約27mの高さ、橋のてっぺんからネレトヴァ川をめがけ、地元モスタルの勇気ある男性たちがダイブします。
スターリ・モスト橋が作られたのは16世紀半ば頃。ガイドさんのお話によると、かつてモスタルでは、男性が愛する女性に求婚する際などに「勇敢さ」や「決意」を示すために橋の上から飛び込む伝統があったのだとか。
(↓↓↓ 動画)
「真夏は35度以上まで気温が上がるモスタルですが、夏でも川の水は非常に冷たく、水温は15度前後です。従って、暑い橋の上から、冷たい川の中へ飛び込むことは、ある意味命がけの危険な行為なのです。だから、勇気や覚悟がないと、なかなかできないことなんですよ。
かつて、モスタルの男たちは『愛』のために川へダイブしていましたが、今では『お金』のために飛び込んでいます(笑)」と、冗談混じりにガイドさんが話してくれました。
ガイドさんのお話の通り、お兄さんたちは橋の上で観光客から「チップ」を集めていて、チップが30ユーロ程集まったら川へダイブして、見物客を沸かせてくれます。
飛び込みは一瞬で終わってしまうため、観光中にうまくダイブシーンを目撃できるかは運次第ですが、せっかく夏のモスタルへお越しになるからには、どうぞお見逃しなく!
5. モスク見学もお忘れなく!
かつてオスマン帝国に支配された歴史を持つことから、ヨーロッパに位置しながらもエキゾチックでオリエンタルな雰囲気を持つモスタル。
町には数多くのモスク(イスラム寺院)もあり、一部は観光客にも開放されています。冬の観光オフシーズン中には見学不可となってしまう施設が多いのですが、観光客が多くなる夏のシーズン中(5月~10月頃まで)は多くの施設が内部見学可能な状態となるので、せっかくの機会をどうかお見逃しなく!
ただし、モスク内部の見学を希望する方、特に女性は、肌の露出が多い服を避けるように気を付けてくださいね。
真夏の観光時は、肩が出るサマードレスやキャミソール、ホットパンツなどを身に着ける女性も多いと思いますが、モスク内部に入る時、肌の露出が多い服装はマナー違反。
うっかりこのような服装を着てきてしまった場合は、モスクの出入り口付近でストールを無料で貸してもらえるので、必ずそれを羽織って拝観させてもらってくださいね。
以上、みなさんの楽しい安全なモスタル観光のヒントになれば幸いです。
(2018年8月公開 小坂井真美)