【ザグレブ現地発レポート】クロアチアでM6.2の地震発生。死傷者も

2020年12月29日 地震発生直後の震源地近くの町、被災地の様子 (HRT4より)

 

昨日のブログ記事「【速報】クロアチア・シサク市近郊でM5.2の地震発生」でクロアチアのペトリニャで地震があったとお伝えしたばかりですが、残念なことに本日(2020年12月29日)また昨日の揺れを超える大きな地震がありました。

 

地震発生時刻は29日のお昼の12:19。

 

日本の一部報道機関でもニュースになっているようで「大丈夫ですか?」とご心配くださるあたたかいメッセージが次々と届きますが、おかげさまで私もクロアチアの家族も友人、ザグレブの自宅も無事です。

 

クロアチア現地の様子を心配してくださっている方も多いと思うので、まずはこの記事を綴っている12月29日の20時半現在で私が把握できている情報を以下ざっくりではありますが、箇条書きにてお伝えします(※情報源は主にクロアチア国営放送および現地サイトのニュース):

●地震発生時刻:2020年12月29日12:19

 

●M6.2(震源の深さは10km)

 

●震源地:クロアチア、ペトリニャ(Petrinja)付近(ザグレブから約46km)

 

●子供を含む死者7名、負傷者多数

 

●建物の倒壊、損傷など被害が大きかったのは震源地近くのペトリニャ(Petrinja)やシサック(Sisak)市

 

特にペトリニャでは町の大半の建物が何らかの被害があった模様

 

●震源地付近の町や村では現在も瓦礫の下敷きになった方々の捜索活動が続けられており、今後さらに死傷者が増えると予想されている

 

●震源地に近かったシサック市では病院が屋根が壊れるなど被災。病院としての機能を失い、地震直後直ちに入院患者の避難が行われる。特に新型コロナ患者など酸素吸入などの措置を受けていた方はヘリコプターでザグレブなど他都市の病院へ救急搬送された。他の患者も他の安全な建物や別の町の病院への移動が進められた

 

●震源地近くのある幼稚園は建物がほぼ全壊近い状態。幸い幼稚園は休園中のため死傷者はゼロ

 

●地震直後、ザグレブをはじめクロアチア各地から被災地へ医師が派遣された

 

●ペトリニャ、シサックなど震源地近くの町や村では家が全壊した方や家の安全が確保できない方が多数

 

●現地メディアの報道、専門家によると本日の地震は今年3月のザグレブ地震の30倍の強さであったとのこと

 

●首都ザグレブおよび近辺でも本日の地震により損傷した建物あり。屋根瓦が崩れ落ちるなどの被害あり。昨日(28日)の地震による屋根の損傷の復旧作業に当たっていた作業員が、本日の地震の揺れにより屋根から落下して負傷との情報も

 

●ザグレブの小児病院も被害がひどく(建物が古かったため被害が大きかった)、患者を避難せざるを得ない状態

 

●地震発生後、ザグレブでは公共交通機関のトラムが全線運行中止に

 

●ザグレブ空港が位置するヴェリカ・ゴリツァ市では地震直後に停電した地域も

 

●ザグレブ北部に位置し、隣国スロヴェニアとクロアチアが共同保有するクルシュコ原発は地震発生後安全のために停止された

 

●クロアチアのカルロヴァッツ郡でも本日の地震で損傷し建物が30軒報告されている。また2名の負傷者の報告もあり。なおカルロヴァッツでも地震後に停電が発生。

 

●クロアチア市民保護局は救急活動の妨げにならないよう、他都市の市民が個人的に被災地(ペトリニャ)へ行かないように呼びかけている

 

●クロアチアでは12月23日から2021年1月8日まで県をまたいだ移動が禁止されていたが、本日の地震を受け制限措置を解除する旨が発表される

 

★なお、こちらの現地メディアの記事(index.hr // Tlo se u Petrinji još trese: Sedam poginulih, cijelu noć će tražiti preživjele)では地震発生直後の被災地の様子を移した動画や写真が多数掲載されています

2日連続で起きた大きな地震

2020年12月29日 地震発生直後のザグレブ市内の様子 (HRT4より)

 

私が住んでいるのはクロアチアの首都のザグレブ。上でもお伝えしたように、今回の地震の震源地はザグレブから南東に約46kmのところにあるペトリニャという街の近くです。

 

まず昨日のブログ(【速報】クロアチア・シサク市近郊でM5.2の地震発生)でもお伝えしたように昨日28日にペトリニャで起こった地震はM5.5。28日朝6:28に発生したのですが、ザグレブの自宅も結構揺れて、そのせいで飛び起きました。幸い私が住むザグレブ新市街では特に建物の被害などもなかったようですが、ザグレブ市内中心部では一部屋根が崩れるなどの被害が出てしまいました。

 

実はザグレブは今年3月に大きな地震があったばかりで、まだその復旧作業などが少しずつ進められている最中だったのですが、昨日(28日)の地震でさらなる被害が出てしまいました。

 

一方、昨日(28日)の地震の震源地であったペトリニャやその近郊の町は、私が住むザグレブよりも被害が大きく、一部屋根が崩れたり、天井や壁にひびが入ったりした建物もあったようですが、幸いこの日の地震では死者や大きな怪我を負った方はでませんでした。

 

みんな「今年はコロナ、それから3月のザグレブ地震でクロアチアにとってただでさえ大変な年だったのに、年の瀬にまた地震だなんて・・・!2020年、あと数日しかないんだから、本当に勘弁してほしいよね」なんて話していて、私も大きな余震がないことを祈っていたのですが、非常に悲しいことに本日(29日)さらに大きな地震がクロアチアを襲いました

 

地震発生時・その後のザグレブでの体験

2020年12月29日 地震発生直後のザグレブ市内の様子 (HRT4より) ザグレブ市内ズリニェバッツ公園へ一時避難する人々

 

本日(29日)のペトリニャでの地震はM6.2。私が住むザグレブの自宅もかなり揺れ、今年3月のザグレブ地震と同じくらいの揺れに感じました(「昨日の地震より大きい・・・!」とすぐに感じました)。

 

揺れは数秒で止まり、我が家では(一部棚の上のものが落ちてきただけで)食器が落下して割れたりなどの被害はありませんでした。

 

ですが、3月のザグレブ地震に体感した揺れから、直感的に「これはマズイ!」と背筋が凍りました。速報で震源地がペトリニャでM6.2だったことを知って「これは・・・震源地は大変なことになっているな・・・」と非常に嫌な予感がしました。

 

私にとって今までの人生の中で経験した一番大きな地震は阪神淡路大震災(当時大阪に住んでいました)。当時幼稚園児の記憶ながらも今でも鮮明に覚えているその時の揺れと比べると、正直なところ今年3月のザグレブ地震(M5.5)も今日の揺れ(震源地ではM6.2)も「それほどの揺れ(命の危険を感じる程)」ではありませんでした。

 

でも地震が滅多ににない、かつ築100年以上の古い建物がたくさんあるクロアチアにとってM5を超える地震は「大地震」

 

今年3月のザグレブ地震(M5.5)の経験から、クロアチアの建物が地震に対していかに脆弱であるかを痛感したばかりなので、今日の地震は発生直後、ニュースを見る前からすでに体感的に「今の地震はマズイ・・・」と感じていました。

 

2020年12月29日 地震発生直後のザグレブ市内の様子 (HRT4より)イェラチッチ総督広場でインタビューを受けるバンディッチ市長と取り囲む記者たち

 

ザグレブの自宅で揺れが収まってからは、とにかく家族と庭に出て、しばらく待機・一時避難しながら、家族や友達との安否確認を急ぎました。(近所の人たちもみんな野外に避難していました。ザグレブ市内でも公園などに多くの人が一時避難している模様が報道されていました)

 

でも電話回線が切れたりパンクしたトラブルもあり、つながらなかったり、逆に私にメールや電話をくれた人の着信やメッセージが届かなかったり・・・と、しばらく混乱も。

 

ザグレブ市内の方向からは救急車と思われるサイレンの音が聞こえたり、しばらくするとヘリコプターが次々と空を飛んでいる光景が目に飛び込んできました。

 

数時間かかって、ひとまず家族や近しい友達、知り合いと安否確認がお互い取れたので、一旦落ち着いてクロアチアの国営放送をテレビでチェック。テレビ画面からは震源地のペトリニャや近郊のシサク市などをはじめ、被災した周辺の街や村などの悲惨な映像が流れてきました。

 

民家など建物の屋根が崩れ落ちて、道路に瓦礫が散乱したり、ショックから泣いている人たちの様子も映し出されていて、見ているだけで辛く思わず涙が出てしまいました。

 

しかも今は12月。今クロアチアは夜ですが、大切な思い出の家を失い、暗くて寒い中心細い思いをしている方も大勢いると思うと本当に胸が痛みます。

 

クロアチアでは一昨日(27日)から新型コロナのワクチン接種がはじまり「2021年はやっとコロナが収まり良い年になるかな・・・」なんて、みんな新年に期待を抱いていたのに、まさか年の瀬にこんな大きな災害がクロアチアを襲うだなんて誰も想像してなかったことでしょう。

 

また今日の地震でお亡くなりになられた方、大切な家族や友人を失ってしまった方のことを想うと言葉が見つかりません。

 

ほんの数日前にコロナ渦の中で祝ったクリスマス。このクリスマスが最後の家族の集いとなった方々のことを想うと、ただただ胸が締め付けられます。

 

被災地へ寄せられる想い

 

なお、被災地のペトリニャは1991年のクロアチア独立戦争の際、当時の敵国であったセルビア軍との戦いの戦火が激しかったエリアのひとつ。

 

ですが戦後30年近く経った今、クロアチアで大きな地震があったこと、またペトリニャで大きな被害が出たことを知って、セルビアからも(SNSなどを通じて)多くのあたたかいメッセージや支援の申し出などが寄せられているそうです。

 

Facebookをチェックしていた義弟も「(2014年にセルビアを含む地域が洪水に見舞われた時のことを振り返って※)洪水の時、セルビアに真っ先に手を差し伸べてくれたのはクロアチア、スロヴェニアだった。だから今度は私たちがクロアチアを助けたい」という、あるセルビアの方の投稿を見て「感動した・・・」と話していました。

 

(※2014年のセルビアおよびボスニア・ヘルツェゴヴィナでの洪水発生当時の現地レポートはこちら:家が浸水してしまいました…バルカン半島 過去最悪の洪水被害に

 

なお今年3月のザグレブ地震の際も日本から「ザグレブ地震のお見舞いの募金をしたいのですが、どこかおすすめの寄付先はありませんか?」などとお声をかけてくださる方が何人もいらっしゃったのですが、今回も早くもそのようなお声が届いています。(関連記事:【ザグレブ地震】日本から届く温かいメッセージに感謝

 

また今後、もしもどこか信頼できそうな寄付先や支援団体・活動などの情報を掴んだら、当ブログでみなさんにお知らせさせていただきますね。あたたかいメッセージ、本当にありがとうございます。

 

「今度クロたび(当サイト)に投稿するのは「年末のご挨拶」、今年最後のブログ記事になるな・・・」と思っていたのに、まさかこんな記事を書くことになると思っていませんでした。

 

今も救助・捜索活動が続けられている被災地。ひとりでも多くの命が救われ、そして今後被害がこれ以上拡大しないこと、さらなる大きな余震がないこと、被災地の方々の無事を切に願います。

 

(クロアチア現地時間2020年12月29日21:30 小坂井真美

 

【2020年クロアチア地震関連過去情報】

 

⇒ 3月22日公開 : 【現地レポート】ザグレブでM5.5の地震が発生。大聖堂の尖塔も崩れ、市内で被害が出ています

 

⇒ 3月22日公開 : 【現地レポート】地震と新型コロナに震撼するザグレブ┃半日経った街、人々の様子

 

⇒ 3月24日公開:【ザグレブ地震】日本から届く温かいメッセージに感謝

 

⇒ 4月22日公開: 【クロアチア便り】ザグレブ地震から1カ月が経ちました

 

⇒ 12月28日公開: 【速報】クロアチア・シサク市近郊でM5.2の地震発生

 

クロアチア大地震被災地への募金、支援について

 

この度、駐日クロアチア共和国大使館による支援金受付のため口座が開設されました。

 

ご興味をお持ちくださる方はこちらの記事(【クロアチア大地震義援金】駐日クロアチア共和国大使館が寄付金の口座を開設)をご覧ください。

 

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