アジアで韓国がトップ! クロアチアで韓国人旅行者が急増した理由

夏、たくさんの人で賑わうドブロブニク旧市街内

 

ここ数年、韓国人観光客が急増したクロアチア。

 

(私はクロアチアに住んでいるのですが)クロアチアへお越しくださる日本人観光客の方からも「韓国の方が本当に多いですね~!どうしてですか?」と聞かれることが何度もありました(昨年(2018年)だけで直接お会いした方の他、メール等でクロアチア旅行の感想をくださった方などを含め、少なくとも30回以上聞かれました(笑))

 

確かにクロアチアの主要観光地では、どこに行っても必ず目にする韓国人観光客。特にクロアチアで観光客が一気に少なくなる冬の観光オフシーズンになると、一年を通して絶えず訪れる韓国の団体観光客の姿は特に目立ちます。

 

アジア圏で断トツのNo.1

 

確かに多い、韓国人観光客。

 

実際にどれくらい多いのかというと・・・2017年にクロアチアを訪れた韓国人観光客の数は約45万人(44,9000人)。

 

「この数字って、多いの少ないの?」とピンとこない方も多いと思うので、クロアチア政府観光局が発表した資料をもとに、簡単に数字をまとめてみました(↓) (※ ()内の数字が正確なデータ)

 

「クロアチアを訪れる日本人は年間どれくらいなんですか?」という質問もよく耳にするので、日本人観光客の数、それから他のアジア圏からの観光客の数も拾ってみました。

 

【国別、訪クロアチア観光客数】

 

2016年 2017年
クロアチアを訪れた観光客の数(全体の数) 約1370万人(13,715,000) 約1560万人 (15,593,000)
ヨーロッパ圏からの観光客の数(合計) 約 1200万人(12,033,000) 約1339万人(13,397,000)
非ヨーロッパ圏からの観光客の数(合計) 約168万人(1,682,000) 約219万人 (2,196,000)
韓国 約38万人(375,000) 約45万人 (449,000)
日本 約12万人(120,000) 約14万人 (142,000)
中国 約10万人(102,000) 約15万人 (159,000)
台湾 約8万人(83,000) 約13万人 (126,000)
インド 約3万人(33,000) 約6万人(56,000)
タイ 約2万人(17,000) 約3万人(29,000)

 

出典:  TOURISM IN FIGURES 2017 (Edition 2018) Ministry of Tourism Republic of Croatia

 

(詳細なデータが気になる方は上の出典リンク先の資料30ページ目をご覧ください)

 

上のデータからわかるように、アジア圏からの観光客でで断トツに多いのが韓国!続いて2位は日本ですが、韓国は日本の3倍以上の数です。(ちなみにクロアチアの人口は約430万人です)

 

 

また2017年に放送されたクロアチアの国営放送のニュース(上の動画)では、「2018年にはクロアチアを訪れる韓国人の数は50万人を突破する」と予想されていましたが、(2019年1月現在、まだデータは出ていませんが)おそらく50万人は超えているのではないかと思います。

 

クロアチア人もびっくり

フヴァル島

 

アジア圏からクロアチアを訪れる観光客の約2割もの数を占める韓国。こんなに韓国人観光客が増えれば、クロアチアでの韓国に対する興味もぐっと上がります。

 

観光業に携わるクロアチア人の友達たちの多くも「ほんの5年程前までクロアチアで見かけるアジア人観光客は、ほとんどが日本人だったのに。今は韓国人が断トツで多く、中国や台湾の方もすごく増えてきたねぇ。半面、日本人は一時と比べると、ちょっと少なくなった気がする」と話しています。

 

またプリトヴィッツェで長年働いている友達も「クロアチアの終戦直後(95年終戦※)は、プリトヴィッツェにはほとんど観光客が来なかった。そんな中、最初にプリトヴィッツェへ戻って来てくれた(団体ツアー、大勢で来てくれた)観光客は日本人だった。“プリトヴィッツェで見かけるアジア人観光客”と言えば、日本人だった。でも、今はアジア人観光客と言えば、韓国が圧倒的に多い・・・!」と、ちょっぴり懐かしそうに話していました。

 

(※プリトヴィッツェはクロアチア独立戦争(91年~95年)時代、ユネスコ危機遺産にも一時指定された悲しい過去があります。今はもちろん安心して美しい大自然を満喫できる、クロアチアを代表する人気観光地です)

 

プリトヴィッツェ湖群国立公園

 

ちなみに、上のデータ(国別、訪クロアチア観光客数)の出典として紹介したクロアチア観光局の資料の2013年版を見ると、2011年にクロアチアを訪れた日本人の数は15.5万人、韓国人はわずか4.7万人。

 

そして2012年にクロアチアを訪れた日本人の数は16万人、韓国人は7.4万人とあります。(ちなみに2009年にクロアチアを訪れた韓国人観光客の数は約1万人だったそうです!!)

 

約2011年と比べると、日本人の数はあまり変わってませんが(むしろ少し減っている💦)韓国人は約6倍にもなったクロアチア!

 

5年程前までは「韓国」と聞いても「どんな国なのか、ぱっとイメージが浮かばない。あまり詳しく知らない」というクロアチア人が多かったようですが、増え続ける韓国人観光客の影響で、韓国にいろんな意味で興味を持つクロアチア人が増えたようです。

 

また、韓国語の表記やパンフレットや地図も急増し、観光地を歩いているとハングルで書かれた看板などをちらほら見かけます。

 

ひと昔前までは「クロアチアで目にするアジア圏の言語表示、パンフレット等」といえばほぼ日本語だけでしたが、ここ5年程で一気に韓国語と中国語が増えました。

 

ザグレブのお土産屋さん

 

さらに最近は「(上の写真のように)韓国語(や中国語)で「ようこそ」等と書かれているけれど、日本語表記はない」というようなお店や広告もたまにあり、日本人としてはちょっと寂しい気分・・・。

 

クロアチアにアジア圏からのお客さんが増えるのは、クロアチアで観光業に携わる人間として嬉しいことですが、(観光業界における)日本の影がひと昔と比べると薄くなったことは、正直なところ日本人として寂しいです💦

 

韓国人旅行者が急増した理由

プリトヴィッツェ

 

上でお伝えしたように、2012年にはわずか7.4万人だった韓国人観光客がわずか5年(2017年)の間に6倍、45万人にも増えた理由。

 

そのきっかけは、2013年にクロアチアで撮影された「花よりおねえさん」というテレビ番がきっかけだったそうです。

 

番組を実際に観たことがないので、(どんな番組なのかは)詳しく知らないのですが、なんでもこの番組(ドラマ)でクロアチアがロケ地として登場する回があり、それが放送されたことにより一気にクロアチア人気に火がついたのだとか。

 

番組を見て「私もこんな素敵な景色を見てみたい!」とクロアチアに興味を持つ人が増えた ⇒ 実際にクロアチアへ行った人たちのSNSなど口コミの効果でさらに増える・・・という感じで、爆発的に韓国人観光客が増えたのです。

 

日本からお越しくださる方にも「クロアチアに興味をもったきっかけは旅番組だったんです!」という方がたくさんいらっしゃり、「テレビの力はやっぱりすごいな」と感じることが多々ありますが、それにしても韓国でのこの現象は驚き。

 

「こんなに影響力があるなんて・・・いったい、どんな番組なんだ!?」驚くクロアチア人もいましたが、私も気になります!

 

増える韓国レストランや宿

ザグレブの観光エリアにある韓国食品店

 

韓国人観光客が爆発的に増えると同時に、一気に増えた韓国レストランや韓国食品店。

 

韓国系に限らず、クロアチアはここ10年程で昔と比べると(首都のザグレブや観光地を中心に)多国籍なレストランやカフェなどがかなり増え、年々インターナショナルな雰囲気になりつつありますが、それでも韓国関連のお店がかなり増えました。

 

韓国でのクロアチア・ブームが起こる前は(私が知る限りでは)首都のザグレブでさえ韓国レストランはなく、ハングル表記に気づくこともありませんでしたが、今ではザグレブやドブロブニクなど、人気観光地で韓国関連のお店やレストラン、宿(ホステル等)を目にすることが多くなりました。

 

ただちょっと不思議なのが、クロアチアで観光関連のビジネスをされている韓国人には「韓国人観光客だけをターゲットにしている」という方が多いのだそう。

 

実際に詳しく調べたわけではなく、観光関連の仕事をしている様々なクロアチア人に聞いた話なので、どこまで正確な情報なのかはわかりませんが「あの宿はオーナーが韓国人。韓国人観光客だけをターゲットにしているらしいよ」「あの韓国レストランは、韓国人団体客専用のレストラン。予約の団体客が来るときだけお店を開けているらしい。韓国料理を食べてみたいのに残念だなあ」なんて声をちらほら耳にします。

 

確かに、そのような宿やレストランの看板等を見ると全部ハングルで書かれていて「何が書かれているのかさっぱり・・・」なんてことも。その空間だけ、クロアチアなのにクロアチアでないような、不思議な雰囲気を醸し出すスポットになっていたりします。

 

ザグレブのコスメショップ前にある看板

 

もちろん「韓国関連のお店だけれど、韓国以外の観光客や地元民も大歓迎!」というお店やレストランもたくさんあります。

 

ザグレブの韓国レストランで働いているクロアチア人の友達がいるのですが、そのレストランの韓国人オーナーさんも3程前にお店をオープンさせた際は、基本的に「韓国人団体客のツアーの食事提供」が主な収入源だったそうですが、今では地元民(クロアチア人)のお客さんもかなり増えてきたのだとか。

 

韓国人観光客の増加がきっかけで「韓国に興味を持った」「韓国に行ってみたい」「韓国語を習い始めた」というクロアチア人が、ひと昔前と比べると随分増えたようです。

 

ソウル事務局も開局

スプリット

 

GDPの20%以上を観光業に頼っているクロアチアにとって、海外での観光PRは大変重要。そのため、ヨーロッパ諸国とアメリカを中心に「クロアチア観光局の事務局」があり、各国で日々様々なクロアチアPR活動に尽力しています。(これまで、アジアでクロアチア観光局があったのは日本だけでした)

 

クロアチア政府観光局日本事務局は2008年に開局され、様々な活動を通して日本でクロアチアの魅力を広めてくれましたが、大変残念なことに2015年に閉局・・・。

 

本国クロアチアの政府観光局のマネージャーさんの話に聞いた話では「予算の問題」「ひとまず、日本でのマーケティングは、やることはやった!という判断で一旦打ち切りにした」とのことですが、実際はどうなんでしょうか・・・。一方で近々、ソウルと上海に新たにクロアチア政府観光局が開局されることが決定されているのだとか。

 

クロアチアで観光業に携わる日本人としては複雑・・・寂しい限りです 😥 

 

直行便も就航

 

どんどん進むクロアチア・韓国間の関係の発展!

 

なんと昨年(2018年)9月からは、大韓航空による仁川ーザグレブを結ぶ直行定期便が就航しました。

 

これまで日本でも、大手旅行会社による(日本ークロアチア間の)チャーター直行便が年に何度かありましたが、アジアからクロアチアへの定期直行便は初

 

「日本からクロアチアへの直行便が定期的にあったら、もっと行き来がラクになるのになぁ~」と10年以上思いつづけてきた私にとっては、うらやましい限りです。

 

私は中東エアライン(トルコ航空、カタール航空、エミレーツ航空)が特に好きなので、日本=クロアチア間のフライトには、たいてい中東の航空会社を利用するので、大韓航空を利用したことはありませんが、日本と韓国は近いので、乗り継ぎ便のスケジュールさえうまく合うようなら、日本人にとっても便利かもしれませんね。

 

仁川空港SPCラウンジ

 

ちなみに、大韓航空のクロアチア直行便自体には乗ったことはありませんが、去年ザグレブーパリ経由ーソウル経由ー大阪のお得なチケット(エールフランス航空)を見つけたので、ソウル経由で一時帰国したことがあるのですが、仁川空港が思いのほか綺麗で大きかったのが印象的でした。

 

空港ラウンジ(SPGラウンジ)もゆったりとくつろげ、ラウンジ以外の誰でも無料で休憩がとれるスペースも大きくて座り心地が良さそうな椅子がたくさん置いてあって、なかなか素敵な空港でしたよ。

 

日本とクロアチア

 

以前、在クロアチア日本大使館の瀧口大使が「”観光”は、その国の魅力が一番伝わりやすい方法。クロアチアに日本人観光客が増えることは、双方の国の人々がお互いを直接知り合うことができる、貴重な機会が増えることでもあります。まずは観光を入り口に、長期的には経済面を含め、日本とクロアチアのより良い関係を築いていきたいですね」とお話してくださいましたが、まさにその通りです。

 

(関連記事: 【インタビュー】瀧口大使にお聞きした、 クロアチアでの日本の印象 & クロアチアの魅力!

 

上でお伝えしたように、韓国人観光客の増加がきっかけで、クロアチアと韓国の距離は以前と比べると一気に近くなりました。

 

また観光ガイドをしているクロアチア人の友達のなかには「クロアチアに来てくださる日本人観光客をご案内することが多いけれど、みんなすごく親切で礼儀正しくて、いい人ばかり!

 

子供の頃から日本という国については知っていたし、何となく良いイメージは持っていたけれど、正直なところ、そこまで関心はなかった。それに、日本はすっごく遠いし、“いつか日本を訪れてみよう”なんて思うこともなかった。(多くのクロアチア人にとって日本は“世界の果て”、すごく遠い国、というイメージです(笑))

 

でも、ガイドの仕事を通して日本の素敵な方々とふれあうにつれ、“こんな人たちが住んでいる国はいったいどんな国なんだろう?”とすごく興味を持ち始めたんだ。そして、日本に行ってきたよ!・・・、最高だった!!!本当に楽しかった!!頑張ってお金を貯めて、また近い将来絶対に日本へ旅に行きたい!」というような話をしてくれた人が何人かいます。

 

こんな声を聞くと、やはり海外旅行では、観光客ひとりひとりが「親善大使」になりえるのだなあ・・・と思います。

 

地図では遠い日本とクロアチアですが、もっともっとお互いにとって心が近い存在になってくれることを願っています🌸

 

微力ではありますが、そのためにもクロアチアの魅力の発信を頑張って続けていきますね!

 

(2019年1月6日 小坂井真美

 

【関連記事】

 

⇒ クロアチア人に聞いてみた、日本に行って驚いたこと (前編)

 

⇒ クロアチア人に聞いてみた、日本に行って驚いたこと(後編)

 

⇒ あなたは大丈夫?海外で嫌われる日本人観光客の特徴

 

⇒ 【インタビュー】瀧口大使にお聞きした、 クロアチアでの日本の印象 & クロアチアの魅力!

 

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